Devergyは、発展途上国の低所得者層に手頃な料金で安定した電力を供給することを目指す社会事業です。2010年に設立されたこの事業は、村単位という小規模な配電網(マイクログリッド)をベースに、太陽光発電により照明をはじめ冷蔵庫、テレビ、ラジオなどの電化製品に使用するための電力を一般家庭と事業者に供給します。
ビジネスの課題
サハラ砂漠以南のアフリカでは、およそ5億人が電気のない生活を送っています。僻地や未開発の地域に配電網を設置するには無数の課題が立ちはだかります。Devergyの顧客が住んでいるのは、そもそも配電網など存在しない国の農村地帯であり、住民は個人で住宅用太陽光システムを購入するだけの経済力がありません。
顧客基盤の平均収入は1日2ドルにも満たないのです。
そのため、Devergyは安定した電力供給に向けて従来の配電システムとはまったく違った方法を考え出しています。太陽光発電とワイヤレステクノロジーを活用し、タンザニアとガーナの農村でエネルギー需要を満たすための持続可能なビジネスを構築しました。
Devergyが登場するまで、子供たちは灯油のランプで宿題をし、携帯電話の充電は電池のみ、台所の煮炊きには薪が必要でした。
ソリューション
Devergyは配電網の通信ネットワークにDigi XBee®テクノロジー を利用し、数百台のノードを接続しています。太陽光発電の配電網をスマートグリッドにすることで、コスト効果が高くなり、管理もしやすくなります。
さらに、ZigBeeからGPRSへの接続にはDigiの ConnectPort® X4ゲートウェイ を採用しています。Devergyの共同創設者であるパスカーレ氏は、「プラグアンドプレイ式のフレキシブルなDigiの製品は、サービスをいち早く市場に投入するための必須要素でした」と語ります。
ゲートウェイによって、分散配置されたソーラーグリッドを Digi Device CloudSM を通してリモート監視することができるため、メンテナンス費の削減と電気の安定供給につながります。
システムの中心はスマートエナジーメーターです。これにより、使った分だけ支払うプリペイド方式で一般家庭や事業者に電気を供給します。顧客は、先進国でプリペイドの携帯電話や公共交通機関の乗車パスに使用されているシステムと同様のモバイル商業プラットフォーム(Vodacom M-Pesaなど)を利用してチャージします。
Devergyの現地代表には村の代理人を任命します。この代理人は村の議会からの推薦をもとに選出され、技術サポートと販売ができるようにDevergyのトレーニングを受けます。これで顧客は常に顔見知りの信頼できる相手と取引ができるのです。
成果
ユーザー側のメンテナンスが不要で不具合もリモートで監視するシステムのおかげで、Devergyの顧客は他とは比べ物にならないほど安定性と可用性の高いサービスを受けることができます。
Devergyのソーラーグリッドの導入後、住民は照明用の灯油代を最大20%、電話の充電費用は50%も削減できました。Devergyはクリーンで再生可能な安定した電力を提供するだけでなく、その費用も手頃な価格にまで大幅に下げました。
Devergyは2012年以降1,000件を超える顧客に安定したクリーンで安全な電力を届け、今後も長くニーズを満たすことができるシステムの確立に成功しました。現在活動を行っている2つの地域では急速に顧客基盤を拡大しています。タンザニアだけでなく、Devergyのグリッドはガーナのサードパーティにもライセンス供与され、3つの村に電力を供給しています。