Infinitum Electric にとって、野心的な使命は言葉では簡単ですが達成するのは困難です。世界のエネルギーの53%を従来の電気モーターで消費されている中、Infinitum Electricは、特許取得済みのPCBステーター技術を用いてよりスマート、軽量、静粛で環境に配慮した効率と耐久性に優れた電気モーターと発電機を開発し、電化状況の革新を目指しています。Digi XBee® セルラーモデムは、同社がHVAC(空調設備)における大きなチャンスを狙っているため、このミッションにおいて重要な役割を果たしています。
モーターに革新をもたらす
私たちの文明に貢献した電気モーターの基本設計は、鉄の積層コアに銅の巻線を巻いたステーターというもので、発明以来100年以上の間、ほとんど変わっていません。そのため、HVACにおいては、重くメンテナンスが大変で、ノイズや効率性のよくないモーターが使われてきました。
Infinitum Electricの製品担当ディレクタであるシャムズ・シェイク氏は、特許取得済みのプリント基板(PCB)技術とエッチングされた銅の導体を使用することで、より革新的で環境に優しい設計の可能性を見出したと語りました。 Infinitum社のモーターは、必要な材料が少なく、輸送が簡単で安価であり、より効率的に動作するため、二酸化炭素排出量を削減できます。現在HVACアプリケーション向けに販売されているInfinitum社のモーターは、従来のHVACユニットに搭載されているファン、コンプレッサー、ポンプモーターにほぼ取って代わり、HVACモーターの消費方法と電気の生成方法を変えるものです。
より小型でスマートなデザインが評価され、「2021 AHR Product of the Year」および「Building Automation Innovation Award」を受賞した新デザインは、大きなメリットをもたらすことができます。「超高効率に加え、従来のステーターを当社の特許バージョンに置き換えることで、HVACユニットの大きな進歩である静かな動作と振動の低減を実現しました。従来の電気モーターと比較して、新設計は最大60%の軽量化を実現し、カスタマの運用コストを最大25%削減、優れた耐久性と性能を提供することで、現在入手可能な中では最高の性能と費用対効果を持つHVACモーターを実現しています」とシェイク氏は述べています。
HVAC用のIoTモーター
Infinitum社のモーターは、PCBステーター技術と統合されたパワーエレクトロニクスを使用しているため、IoTコネクティビティを活用することができます。つまり、電力、速度、トルク、振動、温度、圧力などを、オーナーやオペレーターが集中かつ遠隔で監視することができるのです。「私たちはまず、サイズ、重量、性能向上のためPCBベースのモーターを開発しました。 しかし、これらのデータをクラウドにプッシュすることで、カスタマが運用データを収集し、何千ものデバイスのポートフォリオで分析を行い、故障予測やメンテナンスプロトコルの最適化を行うことができると考えました。私たちはIoTコネクティビティのエキスパートを探していましたが、市場のソリューションを評価した結果、Digi XBeeファミリのモジュールを選択しました」(シェイク氏)
Digi XBee 3スマートセルラーモデムは、OEMデバイスやIoTゲートウェイにセルラーコネクティビティを簡単かつ迅速に統合する方法をエンジニアに提供します。実績のある業界をリードする技術に基づいて構築された認証取得済みのワイヤレスコネクティビティを提供することで、設計者、OEM、ソリューションプロバイダの市場投入までの時間を短縮します。Digi XBee 3モジュールは、複数の周波数とワイヤレスプロトコルを切り替えられる柔軟性を備えており、中程度の帯域幅(月間標準25MB未満)と低コストのIoTアプリケーションに最適です。
Infinitum社の事業開発担当副社長であるバヴネシュ・パテル氏は次のように述べています。「新興企業である当社は、資金が限られており、市場に投入して収益を上げるまでの期間が短い。私たちが必要としているもののほとんどが、構築・テスト・認証済みで信頼できるものであったため、Digiは私たちにとって素晴らしい選択でした。とりわけ、私たちのカスタマにとって重要な問題であるセキュリティに多くの配慮がされています。また、Digi Remote Manager® を使用することで、IoTコネクティビティを迅速にプロビジョニングして集中管理できます」。
シェイク氏は、Digiのソリューションアーキテクトが、設計を改善し製品開発プロセスを加速するために重要な支援を提供したと述べました。「Digiは、カスタマイズされたアンテナを提供してくれました。このサイズのモーターを使うと、多くの干渉を引き起こす可能性があるため、形状や配置には注意が必要でした。また、主に屋上に設置されるため、破壊行為や破損、磨耗のリスクを最小限に抑えたいと考えました。Digiは、通信事業者などとの契約にも協力してくれ、SIMやデータプランを含めすべての準備が整いました」。
集約されたデータの分析
「Infinitum社のモーターは、HVAC業界のOEM企業に、効率を劇的に向上させコストを下げる画期的な製品を提供して市場のトップに立つ能力を与えます」とパテル氏は話し、振動や温度などの測定データをリアルタイムに集計・分析することで、デバイスの健全性を評価し、潜在的なサービスのニーズをカスタマに警告できる、と付け加えています。
「次のステップは、これらのデータを重ね合わせて、状態監視のシグネチャを作成することです。例えば、温度の上昇や加速度センサのスパイクは、フィルターの目詰まりやベアリングの故障を示している可能性があり、これらのイベントは72時間以内にデバイスが故障する可能性と高い相関関係にあります。これにより、予定外のダウンタイムを最小限に抑えることができるだけでなく、不必要なトラックロールを最小限に抑え、修理のための現場訪問をより効率的に行うことができます」。
パテル氏は、Digiを選んだもう1つの重要な理由として、無線によるリモートファームウェアアップデートができることを挙げました。「Teslaと同様に、効率の向上や新機能などのアップデートを行う際に、Digi Remote Managerを介して、カスタマがアシンプルでセキュアなポータルからアップデートできるようになります」。
シェイク氏は、最初の市場参入はHVACに特化した製品で、主に既存の建物の交換用ユニットだと説明しました。最初の12カ月で5,000台、翌年にはさらに8,000台の導入を見込んでいます。「今後も成長を続ける中で、私たちのイノベーションはさまざまな業界に波及していくでしょう」。